2月10日(月)、
新宿南口・紀伊國屋書店7Fにある「紀伊國屋サザン・シアター」で
当財団が主催する公開対談
『森に描かれた物語を求めて―ゴリラとヒトが分かち合う物語―』が開催されました。

ステージ写真(小)

第一回の記念講演会『村上春樹公開インタビュー in 京都 ―魂を観る、魂を書く―』は
2013年5月に京都で開催しましたが、

 第2回にあたる今回は東京での開催となりました。

日本中が大雪に見舞われるなか、この日の東京は好天に恵まれ、
400人を超える方々が
小川洋子さん(作家、河合隼雄物語賞選考委員)と
山極寿一さん(霊長類学者・京都大学教授、河合隼雄学芸賞選考委員)の話に聴き入りました。

「物語」の作り手である小川洋子さんと
「人類史という大きな物語」を研究する霊長類学者の山極寿一さんに、
どんな対話が生まれるのか。

首都圏だけでなく全国から聴衆が集まり、メディア関係者にも多数ご参加いただきました。
会場入り口では講師のサイン入り著作や河合隼雄関係の本がずらりと並び、
物語と読者の出会いの場ともなりました。

公開対談に先立ち、河合隼雄財団評議員の河合幹雄が挨拶に立ち、
続いて小川洋子さん、山極寿一さんが
生前の河合隼雄との出会いについて、それぞれ短いスピーチを行いました。

河合幹雄は、河合隼雄の多様な活動、深い知見のキーコンセプトが「物語」であると語り、
河合家の子育てなどもユーモアを交えて紹介しつつ、
今回の公開対談の意義について語りました。

そして、ゴリラの生態を記録した貴重な映像から、対談が始まりました。
コンゴの森を訪れた山極寿一さんと34歳のゴリラ、タイタスとの
26年ぶりの感動的な再会がスクリーンに映し出されます。

小川洋子さんは、
ゴリラについて、ヒトについて、次々と好奇心にあふれた質問を行い、
ご自身の創作の一端も明かしてくれました。

山極さんの最新の研究成果のおもしろさはもちろん、
自らをゴリラと称する親しみのあるお人柄の魅力もあって、
会場は発見と笑いに満ちていきます。
聴衆は「森の動物たち」のように「ゴリラの森の物語」の中へ……。

お二人と会場が一体感を持った80分の後、
質問コーナーも予定時間を超える30分間行われました。

小川さんはどんなところから小説を発想するのか、
関西と関東の文化風土の違いについて、
山極さんが地球環境の変化についてどう考えるか、など、
多彩な質問にお二人が丁寧に答えて下さいました。

そして午後9時10分、大きな拍手ともに講演会は終了しました。
終演後、聴衆の方々から温かい言葉が届けられ、
Twitterなどでも多くの感想が寄せられました。

いただいたご感想は、講師のお二人にもお知らせいたしました。
本当にありがとうございました。

なお、この「公開対談」は、
4月7日発売の新潮社の文芸誌「新潮」に編集・採録される予定になっています。
当サイトでもご紹介いたしますので、
当日お越しいただいた方も、お聴きになれなかった方も、ぜひご覧ください。