2024年2月、

『こころの天気図―「自分」を知る146のヒント』が

PHP文庫から復刊しました!

 

本書は、1987年4月から1989年12月まで

「毎日新聞」の「はないちもんめ」で連載されたのち、

毎日新聞社から単行本、その後三笠書房から文庫本として刊行されました。

その後長い間絶版になっていましたが、

2015年にPHP社より単行本で復刊し、それより8年、

このたび新装版で文庫化されました。

 

 

(表紙装画 mochaさん / 装丁 根本佐知子さん)

 

 

本書は、詩人で童話作家の工藤直子さんが、

「(河合隼雄の)書き言葉でなく、話し言葉で聞ければなあ」

という思いつきを端緒として、工藤さんご自身が聞き手となり、

河合隼雄が自由に語るのを「聞き書き」したもので、

河合隼雄の講演録や著作とは異なるスタイルから生まれています。

ですので、とてもやさしく、温かく、

読者である「私」に直接語りかけるように感じられます。

工藤さんによる「まえがき」「あとがき」から、

その時の様子や工藤さんの思いが伝わります。

 

本書の大きな魅力の一つには、

話題やテーマに関連する河合隼雄の著書を丁寧に紹介していて、

河合隼雄に初めて触れる読者のもっと知りたい!に答えます。

まさに、かゆいところに手が届く、という感じ。

 

さらに河合俊雄代表理事による「解説」もぜひ目を通してみていただきたい。

本書の魅力について異なる角度から光をあてています。

 

本書のタイトル『こころの天気図』というのは、

言い得て妙なタイトルと思われる。こころというのは、

(中略)捉えどころがないものである。著者(河合隼雄)は、

そのこころの捉えがたさ、わからなさを巧みに伝えてくれる。

しかし「天気」でなくて「天気図」であるように、

そこにはある程度の構造や原理が見えてくるものであって、

それを本書は示してくれている。(p261)

 

河合隼雄が1年半、33回の語りを通じて、

「自分を含む人のこころのわからなさ」をわからないままに、

しかし、そのわからなさに耐えてどこまでも付き合っていく姿勢の大切さ、

「こころとのつき合い方の神髄」を、

大きな「天気図」として示しているのだということがわかります。

 

 一方、こころとは何かという「根本的な問い」で貫かれつつ、

個々の具体的な問いに対して、

具体的な提案や自分の例をオープンに応えているのも微笑ましく、

興味深いものとなっています。

文庫化にともない、副題に「146のヒント」が、

日々の変わりゆくこころや人生の天気のなかで、

自身のふるまいや選択のヒントになるのではないでしょうか。

 

気になるタイトルを自分の直感に従って読むもよし、

最初からどんどん深く入っていくもよし。

その中から、あなたのための、河合隼雄のことばを見つけだせますように。