ムック本「別冊太陽」の「日本のこころ―309」として、

『河合隼雄 たましいに向き合う』が平凡社よりこのたび出版されました!

 

『別冊太陽 河合隼雄 たましいに向き合う』表紙

『別冊太陽 河合隼雄 たましいに向き合う』裏表紙

 

河合俊雄代表理事の監修のこのムック本は、

稀代の臨床心理学者・河合隼雄について、

さまざまな角度から深く掘り下げていく、

これまでになかった特別な1冊となっています。

(平凡社HPでも写真入りで本書が紹介されています→ https://www.heibonsha.co.jp/book/b625248.html

 

 

まずこの本の読み手をぐいっと引き込むのは、

表紙も含めた美しい写真の数々です。

奥様やご家族から提供されたたくさんの写真から、

河合隼雄の遺した言葉とはまた異なる、

河合隼雄のその人を垣間見させてくれています。

 

「河合隼雄を生きる 臨床心理学者になるまで」では、

0歳から37歳までの半生を、

『未来への記憶 自伝への試み』(上下巻,岩波新書)の

聞き手であった大塚信一さんにより紹介。

このような家族と、このような景色の中で、

このような幼少期を過ごし、このような異国の地に立ち、

その時々に何をどのように感じ考えていたのか――。

 

さらに「臨床心理学者としての思索 著作から辿る軌跡」では、

河合隼雄の代表的な著作を選定し、

その思索を詳細に解説していくのは、

臨床心理学者の河合俊雄代表理事です。

家族だからこそ身近にその過程と姿に接し、

そして臨床心理学者だからこその客観的視点によりその意義が明らかにされています。

そこに添えられる本人のものと思われる本の歪みや汚れ具合から、

河合隼雄の手触りを感じ、

思索の過程の手書きのメモや手書きの原稿用紙からは、

思索の過程の複雑さと熱気が、

出力時のクリアで整然としたシンプルさがありありと伝わってきます。

 

さらには、本の各所で挿入されている寄稿やエッセイも多彩です。

「河合隼雄と私」では、

奥様の河合嘉代子さん、

3歳上の兄・迪雄さんを始め、

谷川俊太郎さん、横尾忠則さん、工藤直子さん、佐渡裕さん、

「エッセイこれからにつなぐ河合隼雄」では、

森田真生さん、小川洋子さん、岩宮恵子さん、

若松英輔さん、中沢新一さん、梨木香歩さんといった執筆陣で、

それぞれの専門性を深めることを通して、

河合隼雄と出会い続けている、

河合隼雄が向き合い続けた「たましい」が今もなお息づき続けている。

そんなことを感じさせられます。

 

今月、十七回忌を迎えるにあたり、

河合隼雄の思索やまなざしが、

今もなおどこへ向かっているのかを、

わたしたちひとりひとりが個々に思い巡らす機会になればと願ってやみません。