今日6月23日は河合隼雄の誕生日です。

雨男と言われた河合隼雄らしい季節を迎えました。

 

 

例年同様、河合隼雄の誕生日を期に、

この1年で出版された河合隼雄関連の本をご紹介します。

 

 

 

昨年9月に、日本でもよく読まれている2冊が、

中国語訳で新知三聯書店より出版されました。

〈物語と日本人の心〉コレクション(岩波現代文庫)の

『物語を生きるー今は昔、昔は今』と『神話の心理学ー現代人の生き方のヒント』の中国語訳本。

アジアに河合隼雄の思想が次々と紹介され続けています。

 

また先日6月15日に、『河合隼雄の幸福論』(PHP)が文庫化されました。

長らく絶版になっていた『しあわせ眼鏡』を解題して2014年に単行本で復刊したものの文庫化で、

新たなエピソードも加わって、より多くの方々に読んでもらえる形となりました。

河合隼雄の指南する幸福とは? 今こそ読みたい一冊です。

 

その他にも、多様な執筆陣とともに河合隼雄の論考や文章が収録された本も多数出版されました。

 

昨年12月に発刊された『1日1篇「人生を成功に導く」365人の言葉』(PHP出版)には、

河合隼雄の言葉が2日分とりあげられました。

1月15日は、「余裕を持って、「よい加減」に」の文が、

2月5日には、「決死の覚悟」についての文です。

いずれも人間関係、家族関係についてですが、

取り上げられている2つの内容が一見真逆、というのも河合隼雄らしいです。

 

今年1月19日に発刊された『つげ義春 賛江―偏愛エッセイ・評論集』(双葉社)には、

河合隼雄の評論「現代青年の感性(抄)」が収録されました。

豪華執筆陣の論考が一挙に集められた随筆集の中で、

河合隼雄がつげ義春さんの漫画『沼』の内向的感覚世界の表現をユング心理学の立場から分析。

一方、大衆マンガの「元型的イメージの切り売り」をすでに厳しく指摘していました。

河合隼雄の漫画論として貴重な論考です。

 

今年2月20日に発刊された柳田邦男さん編著の

『最後まで生きるために〈上〉―わたしの死 あなたの死』(青海社)には、

河合隼雄の講演が再録されています。

2005年11月の第1回21世紀高野山医療フォーラムで「命の不思議」と題された講演です。

河合隼雄の晩年の「生と死について」の考えに触れる貴重な記録です。

これからも、河合隼雄の多様な思想が世界の、

現代日本のさまざまな人々に届きますように願ってやみません。

11月23日(祝)には、河合隼雄の十七回忌記念シンポジウムを予定しています。

詳細はまた追ってご案内いたします。