日経ビジネス文庫 『宮大工棟梁・西岡常一「口伝」の重み』が

第3刷となり、好評発売中です。

宮大工棟梁・西岡常一「口伝」の重み

西岡常一さんは、法隆寺の建物の修理解体に携わる宮大工の家に生まれ、

祖父から三代続きでその棟梁をつとめられた方です。

本書は、第一部が「西岡常一の履歴書」として、

宮大工の家に生まれた西岡氏がいかにして大工になっていったのかが

自伝形式で書かれています。

 

「木と話す」「心を組む」「ヘソで削れ」などの小見出しにも現れているように、

それは、専門職についてのマイナーな話ではなく、

何かにプロとして本気で取り組むこと、仕事人としての生き方、人を教え育てることにかかわる、

人生論、仕事論、教育論、哲学として読むことができます。

 

第二部は、「宮大工棟梁の肖像」として、様々な方との対話から

宮大工棟梁としての西岡氏のあり方があぶり出される構造になっています。

ここに河合隼雄との対談も収録されているのですが、

河合隼雄は西岡氏が現代という時代においていかに大きな仕事をなした人であるかということを強調しています。

 

すべてを測定し、厳密に作り上げる現代建築とは異なる知恵を

抽象的な理論としてでなく、現物として作り上げていることは、日本文化の継承と

現代における発展にとって、とても大きなことである、と。

 

本書も、書物というよりも西岡さんの「口伝」のようなものといえ、

ひとつひとつのエピソードに、今の自分のあり方を考えさせられてしまいます。