精神療法増刊第1号「先達から学ぶ精神療法の世界:著者との対話への招待」に
「河合隼雄の三編」がとりあげられています。

先達から学ぶ精神療法の世界

河合俊雄代表理事が選んだ三編は
『ユング心理学入門』(培風館、1967年;岩波現代文庫、2009年)
『昔話と日本人の心』(岩波書店、1982年;岩波現代文庫、2002年)
『ユング心理学と仏教』(岩波書店、1995年;岩波現代文庫、2010年)

この記事では、まず河合俊雄代表理事が上記三編についての解説を記しています。

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心理療法については、岩波現代文庫に
〈心理療法コレクション〉としておさめられている6冊と、
それに『新版・心理療法論考』(創元社)を加えると、心理療法に関する河合隼雄の著作をほぼ網羅していることになる。

その中から三編を選べばよさそうなものであるけれども、それだけでは不十分である。

河合隼雄の心理療法を理解し、そこから何らかのインパクトを得ようとすると、
むしろ心理療法以外の著作に重要なものが認められるのである。
                           (本文より抜粋)
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ここに書かれているように、河合隼雄の世界は、
専門である臨床心理学・心理療法だけにとどまるものではありませんでした。
むしろ、その外に本質を見いだし、それによって心理療法を深めていこうとしたのかもしれません。

それに対し、岩宮恵子氏(島根大学・教授/河合隼雄学芸賞選考委員)と
山中康裕氏(京都ヘルメス研究所/京都大学名誉教授)が
それぞれコメントを記し、
さらにそれに河合俊雄氏からのリコメントが書かれる形のユニークな記事となっています。

岩宮氏は「女性の意識」という視点から、
山中氏は河合隼雄と共に歩んだ歴史をひもとく形で、
対話によって、河合隼雄の三編が深められています。

この三編は、どれも岩波現代文庫から発刊され、
気軽に手に取れるようになっています。
この機会に、河合隼雄のアカデミックな著作にもぜひ触れてみてください。